共用部分の管理費・修繕積立金

管理費・修繕積立金

Q. 私たちのマンションは、新築以来長年、共用部分の共有持分の割合に応じて、共用部分の管理費・修繕積立金を負担してきました。ところが、修繕積立金の額が低過ぎたようで、その増額をしなければ、今後の修繕資金に不足が生じるということで、修繕積立金を増額することになりました。
 理事会では、共有持分の割合に応じて増額するのではなく、「一律に一戸当たり月額1万円増額する」という議案が検討されています。
 私たちのマンションの管理規約には、標準管理規約第25条2項と同様に「管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」との規定がありますが、理事会で検討されている議案は管理規約の規定とも矛盾しているように思います。
 また、管理規約では共用部分の共有持分は、専有部分の床面積の割合によると定められており、専有部分の床面積も各室で様々で、最も大きなところは最も小さなところの2倍ほどあり、「一律に」増額することになると不公平ではないかと思います。総会の普通決議で可決されれば、上記のような一律の増額が認められるのでしょうか?

A. 規約において、標準管理規約第25条2項と同様に「管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」と規定されており、それ以外の負担割合を認める規定がない以上、現在、理事会で検討されている議案は、区分所有法第19条に違反するものですから、総会の普通決議で可決されたとしても、無効になるものと解されます。

 <解説>

 区分所有法第19条は、「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共有部分から生じる利益を収受する。」と規定しています。
 つまり、区分所有法は、原則として管理費・修繕積立金等の負担については、共用部分の共有持分に応ずるものとし、規約に別段の定めがある場合にのみ、例外としてその共有持分に応じない負担を認めると定めています。
 ですから、ご質問のように、規約に別段の定めもなく、共有持分が一律でないにもかかわらず、各戸一律で修繕積立金の金額を増額することは、区分所有法第19条に反することになりますので、総会の普通決議で可決されたとしても、無効になると解されます。

<チェック!ちょっと深掘り>

 規約の中には、「但し、総会決議により共有持分の割合とは異なる負担を決定することができる。」旨の規定が置かれているケースがたまに見受けられます。このような規定がある場合には、「規約に別段の定め」があるとして、総会の決議により、共有持分に応じない負担割合を定めることができるのでしょうか。
 確かに、このような規定も、形式上は、区分所有法第19条にいう「別段の定め」に該当すると考えることもできるのかもしれません。
 しかし、区分所有法第19条は、共有持分の割合で共用部分の管理費等を負担することが最も衡平であることから、これを原則としているものです。その上で例外として、区分所有者間で規約の制定あるいは改正という特別決議を要する合意形成がある場合には、そうではない負担方法(共有持分の割合に応じない負担方法)も可能となる場合があることを規定するものと考えるべきでしょう。
 このような観点からすると、「総会決議により共有持分の割合とは異なる負担を決定する」場合には、普通決議で可決されれば、負担割合を簡単に変更できることとなってしまいますので、上述の趣旨に反することになると考えられます。
 また、区分所有者としては、区分所有法第19条で定められたとおり、共有持分の割合で負担することを想定しているのですから、どのような名目で、どの範囲の区分所有者が、どの程度負担するのかいうことを区分所有者にとって予測できる程度の具体的な定めを置く必要があるのではないかと思います。

 従って、上記の規定のように、総会に決議に包括的に委任し、具体性を欠き、抽象的に過ぎる規定は、区分所有法第19条の「規約に別段の定め」があるとは解釈できないのではないかと思料します。

 なお、規約の定め方の例として、「敷地清掃費として一律に1戸あたり月額金300円を各区分所有者が負担する。」などと定める場合には、具体性に問題が生じることはないでしょう。また、「敷地清掃費として一律に1戸あたり月額1000円を超えない範囲で、総会で定める金額を各区分所有者が負担する。」という規定も予測可能性を満たすのではないかと思料します。

 一方で、規約で定めさえすれば、どのような不衡平な負担方法でも可能となるわけではありません。  
 区分所有法第30条3項には、「・・・規約は専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利益状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。」と規定し、規約の衡平性を重視していますので、総合的に考慮して、負担方法があまりにも不衡平な規約は無効となりますので、注意が必要です。