総会の白紙委任状

総会

Q. 総会で、代理人名を記載せずに空欄にしたままの、いわゆる白地委任状が提出されました。
   これを有効な委任状として取り扱ってもよいのでしょうか?
有効な委任状として取り扱うとしても、誰を代理人と記載すべきでしょうか?

  1. 委任状に代理人の記載のない、いわゆる白地委任状は、その交付を受けた者に代理人欄を補充する権限が付与されたものと考えられます。理事長宛に白地委任状が提出されたのであれば、理事長において代理人名に自らの名を補充することにより、有効な委任状として取り扱うことで良いと思います。
    なお、争いを避けるために、委任状の下欄に、「代理人名を記載していないものは議長(理事長)に一任したものとみなす。」と付記している管理組合もあるようです。
<解説>

1 白紙委任状とは?  

 白地委任状とは、代理人や委任事項を空白にしたまま交付される委任状のことをいいます。白地委任状の問題は管理組合の総会における委任状特有のものではありません。一般の取引等においても、白地委任状が交付されるというケースはあり、委任者が想定していなかった者を代理人として記載されたり、想定外の委任事項が補充されたりして悪用される(A土地の購入を委任事項にしていたのに、B土地を勝手に売却されてしまったなど)ということがあり、トラブルとなるケースもあります。

2 白地補充権~誰の名前を書くのか?

 白地委任状を作成した委任者の通常の意思は、白地(空欄)部分の補充を交付した相手方に委ねるものであると考えられますので、委任者の意思に基づき白地(空欄)部分が補充されれば、通常の委任状と同様に有効なものと取り扱うことに問題はないと考えられます。

 管理組合の総会の委任状の場合には、委任事項は議決権行使ですから、問題となるのは代理人を誰とする趣旨で交付されたかということが主な問題となるでしょう。
委任者である組合員がこれを理事長に提出したのであれば、その合理的な意思解釈として、理事長を代理人とする趣旨であり、理事長にその旨の白地補充権を授権したと考えてよいと思います。
管理組合宛に提出されたのであれば、その業務執行機関である理事会に代理人を選定する白地補充権を委ねたものと考えてよいでしょう。

3 「理事長に一任していない」と言われたら?

 一方で、白地委任状を提出した方の中には、単なる書き忘れだとして、理事長等を代理人に指定したわけではないからく、議決権行使は無効である等と主張して、総会決議の効力を争うような事態も皆無とは言えないでしょう。そのような争いを避けるためにも、委任状の下欄に、「代理人名を記載していないものは議長(理事長)に一任したものとみなす。」と付記している管理組合もあるようです。

 このように白地委任状を有効と取り扱うことに法律上の問題はないと考えられますが、総会議案について他人任せ、無関心な気運を助長し、管理不全の問題等大きな問題につながることにもなり兼ねません。従って、代理人を主体的に決定するように促すことも必要ではないかと思料します。

 しかし、役員以外の組合員を代理人としたいと考えても、当該総会に役員以外のどの組合員が出席するのか、当該組合員がどのような意見を持っているのかについて、委任状提出時に知ることは実際には難しいでしょう。ですから、議決権行使書で主体的に議決権を行使するよう促すことも必要でしょう。

<チェック!ちょっと深掘り>

現行の標準管理規約第46条第5項は、次のように定めています。

「組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
三 他の組合員」

 管理規約に同様の規定をおいている場合には、議長あるいは理事長宛に白地委任状が提出されても、特別な問題は生じないでしょう。

 ところが、現行の標準管理規約第46条第5項三号の規定がなければどうなるでしょうか?

 代理人は、委任者である組合員の配偶者、一親等の親族、その住戸に同居する親族に限られるわけですから、議長あるいは理事長を代理人として指定したとしても当該組合員との間にこのような親族関係になければ、代理人にはなれず、管理規約に反して無効と考えるべきでしょう。そうすると、三号の規定がない場合、議長あるいは理事長は、代理人として議決権を行使できないという結論になるものと考えられます。

 これまで、当職らが相談を受けてきた事例の中には、実際に、代理人をその組合員が所有する専有部分の賃借人に限定する管理規約を設定している管理組合もありました。収益目的のマンションなどではそのような管理規約を定めている管理組合もあるようですが、無効な委任状が大量に提出されても、定足数にもカウントされませんので、総会自体が成立せず、そこで決議された事項はことごとく無効となる可能性もあります。

 このようなリスクを防止するためにも、管理組合の実情に合わせて、代理人資格を定める必要があります。

以上