Q. 私たちの組合では、管理規約で、理事は総会で選任され、理事長・副理事長は理事の互選により選任すると規定されています。しかし、実際には理事長や副理事長を総会で選任しています。これは管理規約違反ではないでしょうか。
A. 形式的には管理規約に違反していることになるでしょうが、理事会で決議すべき事項を総会で決議することは、実質的には問題がないものと考えます。
<解説>
まず、理事長や副理事長を総会で選任しているとのことですが、総会までに理事候補者の中で、あらかじめ協議して理事長と副理事長を内定させておき、総会では、理事選任と同時に理事長と副理事長のそれぞれの予定者についての報告をしているに過ぎないと解釈し得る場合もあると思われます。このような解釈が成り立つのであれば、そもそも管理規約違反の問題は生じません。
一方、文字通り、理事長や副理事長を総会で選任したとすれば、形式的には管理規約に違反することになります。
しかし、あなたのマンションの管理規約が標準管理規約(単棟型)と同様の管理規約であるとすれば、管理規約の中に総会決議事項を限定するような条項はないものと思われます(標準管理規約(単棟型)第48条は「総会の決議を経なければならない。」と定めているだけであり、決議事項を制限するものではありません。)。
そうすると、管理組合の最高意思決定機関である総会は万能であり(注1)、理事会決議事項でも総会で決議することができると考えられます。
ですから、実質的には、管理規約違反とはならないと考えてよいと思います。
仮に、総会で理事長や副理事長を選任することが管理規約違反であったとしても、理事会の中で、それに異論がなければ、理事らによって黙示の追認があったことになり、「理事の互選により選任」されたものと解釈することも可能であると考えられます。
(注1) 区分所有法第52条第1項本文「管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、全て集会の決議によって行う。」と規定しています。これは管理組合法人に関する規定ですが、法人格のない管理組合についても同様であると解されます。
<チェック!ちょっと深掘り>
管理組合に関する紛争において、よく参考にされることのある「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」には、「前項の規定にかかわらず、理事会設置一般社団法人においては、社員総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議することができる。」(同法第35条2項)という規定があり、社員総会決議事項を制限する規定がおかれています。
本来、社員総会は最高意思決定機関であり、万能であるはずですが、このような規定が置かれているのはなぜでしょうか。
それは、理事会が設置されるような一般社団法人は社員が多数であることが多く、法人に関するあらゆる事項を社員総会の決議事項とすると、法人の事業運営に係る意思決定に機動性を欠くことになるため、業務執行に関する意思決定は理事会に委ね、社員総会の決議事項を限定する必要があるからだと説明されています。
管理組合の場合もこれと同様に考えれば、本来、理事の互選で選任されることになっている理事長や副理事長を総会で選任することはできないのではないかとの疑問も生じます。
しかし、上で述べたとおり、管理組合は一般社団法人の社員総会とは異なり、意思決定の機動性が高度に要求されるものでもなく、「最高意思決定機関」であり「万能」であると解して良く、一般社団法人の社員総会に準じるべきではないと考えられます。
