Q. 理事会で理事長を解任することはできますか。
A. 管理規約に、理事会で理事長を解任できる旨の規定がある場合には、その規定に基づいて理事長 を解任することができます。
一方、そのような管理規約の規定がない場合、最高裁判所は、「理事が互選により理事長を選任する」との管理規約の規定に基づいて選任された理事長については、理事会で解任することができるとしています。
ただし、理事会で理事長を解任した場合でも、理事としての地位は残りますので、理事としての地位を喪失させるためには、総会の決議が必要となります。
<解説>
平成16年に公表された「マンション標準管理規約(単棟型)」では「理事長・・・は、理事の互選により選任する」(第35条第3項)と定められていました。その後、平成28年に改正された標準管理規約(単棟型)では、「理事長・・・は、理事のうちから、理事会で選任する」と改訂されました。そして、これらの標準管理規約に準拠して、管理規約を定める管理組合が多いのが実情だとされています。
これらの標準管理規約に準拠して管理規約を定めた場合、理事長の「選任」についての定めはありますが、「解任」についての定めがありませんでした。そこで、理事長の解任は理事会でできるのか(総会で解任しなければならないのか)が問題となっていました。
最高裁判所は、次のような理由で、理事会で理事長を解任するができると判示しました(最高裁平成29年12月18日第一小法廷判決)。
- 区分所有法は、集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否か及びその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねているものと解される。
- 本件規約は,理事長を区分所有法に定める管理者とし、役員である理事に理事長等を含むものとした上、役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならないとする一方で、理事は、組合員のうちから総会で選任し、その互選により理事長を選任するとしている。これは、理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。
- このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。
このように、管理規約において、理事会の決議で理事長の「解任」をすることができるとまで明記していなくても、解任できることは明らかですが、令和3年6月に改正された標準管理規約(単棟型)では、「理事長・・・は、理事会の決議によって、 理事のうちから選任し、又は解任する。」と改められましたので、誤解を生まないように、管理規約を改正しておくことも一考ではないでしょうか。

